収益進化とは、何を指す?

AlphaDrive代表の麻生要一は、著書『AI収益進化論』で、AIの使い方を2つに分けました。今ある業務を速く、安くする「効率化AI」と、これまで存在しなかった新しい売上を生む「収益進化AI」です。同書は、前者を「既存の型を加速する」、後者を「まだ存在しない型を作る」と表しています。

2つは、次の点で違います。

出発点が違います。効率化AIは今ある業務から始まり、収益進化AIはまだない売上のつくり方から始まります。

AIに渡す情報が違います。効率化AIは、社内にある過去の記録や文書を使います。収益進化AIは、顧客と接する現場で生まれる情報、それもまだ書き残されていない情報を使います。営業担当が肌で感じていること、現場の責任者の勘、顧客対応で覚えた小さな違和感です。

成果の測り方が違います。効率化AIは削減した時間や費用で、収益進化AIは新しく生まれた売上や付加価値で測ります。

主導する人も違います。効率化はシステムの担当部門や外部の事業者が進められます。収益進化は、自社の顧客と事業を知る経営者が判断しないと進みません。

効率化と収益進化は、どう見分ける?

見た目が同じ作業でも、収益進化になることがあります。分かれ目は、その会社がこれまで人手でそれを続けられていたかどうかです。

例えば、問い合わせのあった企業ごとに、その会社の事業に合わせた提案をつくる仕事を考えます。担当者が月に数件だけ手づくりしていた提案をAIで速くつくれるようになったなら、それは効率化です。一方、人手では到底できなかった、すべての問い合わせに個別の提案を返す体制ができ、それによって新しい受注が生まれたなら、収益進化に近づきます。毎日の情報発信、多言語での案内、顧客一人ひとりに合わせた商品の選び方の案内なども同じです。続けられなかったものが続けられるようになり、新しい顧客との接点が生まれるかを見ます。

もう一つの目安は、変化の大きさです。ホワイトペーパー『AXアーキテクトの実装論』は、1.2倍や1.5倍の改善を効率化と呼び、AXとは呼びません。収益進化は、仕事の進め方が変わるほどの、桁の違う変化を目指します。

なぜ今、地域企業に収益進化が必要なのか?

理由は2つあります。

1つめは、地域の経済が、作業を減らすだけでは支えられなくなっていることです。国の地方創生2.0基本構想は、人口が減っても地域の経済を成長させるには、地方経済が「コストカット型から高付加価値型の経済へと移行すること」が不可欠だとしています。

2つめは、新しいことを試す費用が大きく下がったことです。同書は、AIによってソフトウェアなどの完成品をつくる費用がほぼゼロに近づいた変化を「完成コストの崩壊(Completion Cost Collapse)」と呼んでいます。以前なら外注の予算が要ったWebページや業務ツール、試作のサービスを、社内で短い期間につくれます。新しい商品や売り方を試せる回数が、規模の小さな会社でも増えました。

収益進化は、どう進める?

『AI収益進化論』は、収益進化の進め方を「AX for Revenue Loop」という4つのステップで示しています。最初のステップは、効率化です。

最初はAI Sprintです。今ある業務のうち、AIで精度と速さが上がる部分を洗い出し、途中で止めずにAI化をやり切ります。

次はPlateau Detectionです。やり切った先では、これ以上AIを入れる工程が見つからない、入れても効果が小さい、という踊り場(プラトー)が必ず来ます。効率化の効果が頭打ちになるこの地点を見極めます。

3つめはPI Injectionです。PI(Primal Intelligence)は、AIが原理的に持ち得ない、人にしか持てない知性を指します。現場での体験から得た知識や、常識にとらわれない発想です。踊り場を越えるために、これまで見過ごされてきたが可能性がありそうな現場の情報やアイデアを選んでAIに注ぎ込み、業務を試しに変えて、売上への効果を確かめます。これを速く繰り返します。

4つめは、収益構造の再設計です。繰り返す中で、同じ方向から手応えが何度も返ってくるものが見えてきます。その兆しを戦略と新しい業務の形に変え、売上のつくり方そのものを組み替えます。

効率化から始めてかまいません。大切なのは、効率化をやり切った先の踊り場で止まらず、現場の知識を注ぐ次のステップに進めるかどうかです。そこが、収益進化への分かれ目になります。

11月6日(金)19時からのウェビナー「地域企業が“稼ぐ力”をAIで高める方法」では、業務効率化にとどまらず、売上や付加価値を生む収益進化の考え方をお話しします。参加は無料です。

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