なぜ、相談と文章づくりで止まりやすい?

ChatGPTやClaudeを契約した経営者の多くは、まず考えごとの相談相手として使い始めます。メールや挨拶文、企画書の下書きにも使います。どちらも、すぐに役立つ実感が得られる使い方です。

止まりやすいのは、この使い方が一人で完結するからです。相談して考えが整理され、文章が速く書ける。その恩恵は経営者本人の時間に返ってきますが、顧客や社員には届きません。事業の外から見ると、何も変わっていないように見えます。

もう一つの理由は、AIでつくれるものの幅を知らないことです。2026年8月に静岡県磐田市で開いた合同研修では、参加者から、それまで壁打ちに使っていたAIで、ホームページやアプリ、報告資料まで「つくれてしまうなんて知りませんでした」という声がありました。できることを知らなければ、使い方は相談と文章にとどまります。

次は、何をつくればいい?

生成AIを使えば、エンジニアでなくても、Webページや業務ツール、画像、簡単なアプリをつくれます。日本語で指示し、出てきたものを確かめて直す。この往復で、使える形まで仕上げられます。

つくるものは、大きく3種類に分けて考えると選びやすくなります。

1つめは、顧客に見せるものです。商品の選び方を案内するページ、見積の目安が分かる簡単な計算ツール、取引先ごとに内容を変えた提案資料などです。

2つめは、社内で使う道具です。日報や在庫の記録、問い合わせの振り分けなど、表計算や紙で回していた仕事を、自社の進め方に合わせた小さなアプリにします。

3つめは、新しいサービスの試作です。まだ売っていないサービスの紹介ページをつくり、顧客に見せて反応を聞きます。

ホワイトペーパー『AXアーキテクトの実装論』は、こうしてAIを使い、ものを自分でつくって世に出す力をFPL(Full-Product Launch)と呼び、「『AIが作ってくれる』のではない。『AIを使って自分が作る』のである」と書いています。

相談相手として、もっと深く使うには?

相談にも、次の段階があります。AIの答えが一般論に聞こえるなら、それはAIに渡している情報が一般的だからです。

AIが持っているのは、世の中に書き残された知識です。自社の顧客が商談で口にした言葉、現場で感じている違和感、長年の取引から分かっている相手の事情は、AIの中にはありません。こうした情報を、思い出せる限り具体的に書き出して渡すと、答えは自社に合ったものに変わります。

同書は、AIに大量の情報を渡し、答えを見て直し、別の種類の情報を足してまた投げかける繰り返しを、AI SPRINTと呼んでいます。顧客の声を足し、競合の情報を足し、自社の数字を足す。一度の質問で終わらせず、材料を変えながら何度も往復することで、相談の質が上がります。

つくったものは、どう確かめる?

つくったものは、できるだけ早く人に見せます。顧客に見せられるものは顧客に、社内の道具は使う社員に見せ、反応を聞きます。

確かめるときは、感想よりも行動を見ます。ページを見た顧客が問い合わせてきたか。道具を渡した社員が、翌週も使っているか。反応をもとに直し、また見せる。この往復を1つのテーマで何度か回すと、AIが経営の道具に変わっていく手応えが得られます。

11月6日(金)19時からのウェビナー「地域企業が“稼ぐ力”をAIで高める方法」は、生成AIをすでに使い始めた経営者・経営層の方に向けた内容です。相談や文章づくりの次の一歩を、地域の実践とあわせてお話しします。参加は無料です。

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