外部に任せると、なぜ続かない?
地域の企業や自治体が新しいことに取り組むとき、外部のコンサルタントや制作会社に頼むのは自然な選択です。専門の知識を持つ人に頼めば、短い期間で質の高い成果物が手に入ります。
ただ、AIの活用では、この形に3つの限界があります。
1つめは、試せる回数が予算で決まってしまうことです。1回つくるたびに外注の費用がかかると、うまくいかなかったときに直す余地が限られます。AIの価値は、つくって見せて直す往復を何度も回せるところにあります。その往復を外に頼むと、AIの強みが生きません。
2つめは、支援が終わると止まることです。つくったものを直す人、次の取り組みを考える人が地域に残っていなければ、更新は止まります。AIの道具も事業の環境も月単位で変わるため、止まったものはすぐに古くなります。
3つめは、現場の知識が外に出ていかないことです。その地域の顧客が何に困っているか、職人の技術のどこに価値があるかは、地域の中の人が持っています。外から来た専門家がそれを知るには時間がかかり、支援の期間内に十分つかみきれないこともあります。
地域の中では、誰が何を担う?
担い手は、特別な人である必要はありません。企業の経営者や社員、行政の職員、金融機関や商工団体の職員、大学や高専の学生。地域の課題に向き合う人なら、誰もが担い手になれます。
地域AXのホワイトペーパーは、地域の中で担い手を育て続けるために、5つの主体の協働を示しています。自治体は制度と財源と場を、大学・高専は学びの場と若い担い手を持ち寄ります。地域金融機関は事業を見る目と資金を、商工会議所・商工会は経営者のつながりを、地域企業は実践の現場を持ち寄ります。1つの組織だけでは足りないものを、地域の中で補い合う考え方です。
どんな順番で進める?
AlphaDrive REGIONが各地で取り組んでいる形を、順番に沿って紹介します。
最初は、学ぶ場です。AIで何ができるかを知り、実際に手を動かしてつくる経験をします。講義を聞くだけでなく、参加者が自分の仕事や関心を題材に、その場で成果物をつくることを重視しています。
次は、自分の仕事で試す期間です。学んだ後、それぞれの職場に戻り、実際の業務や事業でAIを使います。この期間に、専門家が定期的に伴走します。つまずいたところを一緒に考え、試作を顧客に見せる段取りを支えます。
3つめは、成果の共有です。取り組んだ人が、うまくいったことも、いかなかったことも含めて発表します。他の人の経験が、次に取り組む人の学びになります。
4つめは、次の人を育てる段階です。地域AXのホワイトペーパーは、1人の担い手が、最初は1社の伴走から始め、経験を積んで複数の企業を支え、やがて次の担い手を育てる側に回る道筋を描いています。ここまでには5〜7年ほどかかると見ています。
外部の支援者は、何をする?
外部の支援者の役割がなくなるわけではありません。変わるのは、役割の置き方です。
支援者は、何をつくれば稼げるかの見立てを一緒に考え、試作と検証の往復を伴走し、学ぶ場と実践の期間を設計します。そして、地域の中の担い手に、少しずつ役割を引き継いでいきます。成果物を納めることではなく、地域の人が自分で続けられる状態をつくることを、支援の成果と考えます。
AlphaDrive REGIONは、その土地に拠点を構え、地域で事業を営む立場からこの役割を担っています。地域の稼ぐ力を、地域の中で育てる。それが、地域AXを進めるうえでの基本の考え方です。
11月6日(金)19時からのウェビナー「地域企業が“稼ぐ力”をAIで高める方法」では、社内と地域でAXアーキテクトを育てる進め方と、自治体と連携した各地の実践をご紹介します。参加は無料です。