順調な会社に、なぜ課題が見えにくい?
業績が伸びている会社では、目の前の仕事が忙しく、数字も出ています。今のやり方が正しいことは、売上が証明しています。そのため、やり方を変える理由が見つかりにくくなります。
AIへの取り組みも、今の仕事を少し速くする範囲にとどまりがちです。資料づくりが速くなり、事務の手間が減る。それで十分に役立っているので、それ以上を考える必要を感じません。
ただ、どんな事業にも、伸びが鈍る時期は来ます。顧客の数が頭打ちになる、主力の取引先の方針が変わる、競合が増える。順調なときほど、その兆しは見えにくいものです。
AIで、伸びが鈍る地点をどう見つける?
『AI収益進化論』は、AIで今の業務を改善し続けると、やがて効果が頭打ちになる踊り場(プラトー)が必ず来ると書いています。これ以上AIを入れる工程が見つからない、入れても効果が小さい、という地点です。同書は、これを避けられないものとして受け止め、見極めることを勧めています。
順調な会社にとって大切なのは、この踊り場に着いてから慌てるのではなく、早めに見つけることです。AIは、そのための調べものや分析を短い時間でこなせます。自社の受注の記録を分析して、どの顧客層の伸びが鈍り始めているかを見る。業界の動きや、顧客の業界で起きている変化を調べる。人手では後回しになっていたこうした確認を、定期的に回せるようになります。
伸びしろは、どこに隠れている?
伸びしろは、すでに自社の周りにあることが少なくありません。探すときの観点を4つ挙げます。
1つめは、受けきれていない需要です。人手が足りずに断っている問い合わせや、対応が後回しになっている小口の顧客はないでしょうか。人手では続けられなかった対応をAIで成り立たせられれば、新しい売上になります。
2つめは、既存の顧客の周辺にある困りごとです。いま納めている商品やサービスの前後で、顧客が別の会社に頼んでいることや、手作業で済ませていることはないかを聞いてみます。
3つめは、自社の技術や設備の別の使い道です。同書は、AIにはとっぴな発想、例えば異分野の技術を別の業界に持ち込むような発想はできないとし、それを人にしかない知性として重視しています。自社の技術が、まったく別の業界のどんな困りごとに使えるかを考えるのは、人の役割です。AIは、その仮説に関わる業界を調べたり、試作の紹介ページをつくったりして、確かめる作業を速くします。
4つめは、地域の外です。多言語の案内や、遠方の顧客に向けたオンラインでの接点づくりは、以前なら専門の人員が要りました。いまは、小さく試せます。
順調なうちに動く利点は?
順調なうちに動けば、資金にも人にも、試す余力があります。試して外れても、本業が支えてくれます。業績が落ちてから新しいことを始めると、試せる回数が限られ、一度の失敗の重みが増します。
同書が示す進め方は、今の業務の改善をやり切り、踊り場を見極め、そこで現場の知識や新しい発想をAIに注いで次の売り方を探す、というものです。順調な会社は、この最初の段階をすでに進めていることが多く、次の段階に進む準備が整っています。伸びている今だからこそ、次の伸びしろを1つ選んで、試してみることを勧めます。
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