地域を選ぶ場面でも、AIに聞く人が増えている
観光先や移住先など、地域を選ぶ場面でも、人はAIに聞き始めています。サイバーエージェントの調査(2026年2月、全国の10〜60代9,278人)では、検索するときに生成AIを使う人は37.0%でした。旅行の宿泊施設を比べるときに、最初に使うサービスとして生成AIを選んだ人も8.7%いました。
聞き方は、例えば次のようなものです。「子ども連れで週末に行ける、東海地方の自然の多い場所は?」「子育て支援が手厚く、名古屋に通勤できる移住先は?」「工場の用地を探している。愛知県内で、立地の補助制度がある市は?」。
AIは、条件に合う地域を数か所挙げ、理由を添えて答えます。答えに挙がらない地域は、比べられる前に候補から外れます。観光、移住、企業の誘致のどれでも、地域が選ばれる入口が、AIの答えの中に移り始めています。
AIが地域について読んでいる情報
AIが主に読むのは、Webに公開されている情報です。自治体の公式サイトや観光協会、移住の案内サイトに加え、旅行サイト、個人のブログ、ニュースの記事も読みます。
自治体が直接整えられるのは、このうちの一部です。そして公式の情報ほど、AIに読まれにくい形で置かれていることがあります。大切な案内がPDFや画像の中にしかない。同じ制度の説明が部署ごとのページに散らばっている。終わった事業のページが更新されないまま残っている。こうした状態では、第三者のまとめ記事のほうが、地域を説明する材料になりやすくなります。Googleも、重要な内容はテキストで示すよう勧めています。
住民への正しい案内にもつながる
AIOは、住民への案内にも関係します。住民も、ごみの出し方、手続きの方法、補助金の条件、災害時の避難先を、AIに聞くようになっています。
AIが古い情報や別の地域の情報をもとに答えれば、住民は誤った案内を受け取ります。公式の情報を、文字で、正確に、最新の状態で出しておくこと、終わった制度は終わったと明記することは、AIを通じた誤った案内を減らすことにもつながります。自治体にとってのAIOは、地域の魅力を伝える広報の仕事であると同時に、正確な行政情報を届ける仕事でもあります。
何の地域として名前が挙がりたいかを決める
何の地域として名前が挙がりたいかは、シティプロモーションや地域ブランドづくりと同じ問いです。
「自然が豊か」「子育てしやすい」「食べ物がおいしい」は、多くの地域が同じように言っています。こうした言葉だけでは、AIの答えの中で、ほかの地域との違いが伝わりません。その地域にしかない歴史、産業、人、祭り、特産と結びつけて、何の地域として名前が挙がりたいかを決めます。
決めるときは、狭い言葉に逃げないことも大切です。地域独自の呼び名やキャッチコピーは、地域を説明する言葉としては役立ちますが、観光や移住を考える人がそれをAIに聞くことはほとんどありません。人が実際に聞く大きな言葉の中で、その地域ならではの理由とともに名前が挙がることを目指します。
決めたら、AIに説明してほしい一文を、観光、移住、産業振興、広報の各部署でそろえます。部署ごとに地域の紹介の仕方が違うと、AIは地域を一つの像として説明しにくくなります。
地域の企業や店のAIOを支える
自治体のページは、地域の企業や店にとって、AIが読む地域の第三者の情報です。ここに、自治体ならではの役割があります。
企業紹介、観光情報、地域の認定制度や表彰のページは、地域の企業や店が、何ができる会社か、何がある店かを確かめられる材料になります。特定の事業者を推す必要はありません。掲載の基準は公平にしたまま、載せる情報を、写真や名前だけでなく、文字で具体的にするだけで、地域全体の企業や店がAIの答えに挙がる土台が厚くなります。
さらに、産業振興の施策として、地域の企業や店が自らAIOに取り組めるよう、学ぶ場や支援の機会をつくることもできます。国も2026年に「地域AX」を政策として掲げ、地域でのAIの活用を後押ししています。AlphaDrive REGIONは、地域で取り組むAIOを「地域AIO」と定義しています。地域AIOは、地域における収益進化AIの手法の一つです。AIの答えを地域の新しい顧客との接点ととらえ、何の会社・何の店として名前が挙がるべきかを定め、人手では続けられなかった発信と確認をAIで回し続けて、新しい売上をつくります。
自治体が取り組むと、効果を大きくできる
AIOは、一つひとつの企業や店でも取り組めます。それでも、自治体が取り組むことで、その効果を地域全体で大きくできる可能性があります。理由は3つあります。
1つめは、地域を一つの像として語れることです。観光、移住、産業振興の各ページ、観光協会や商工会議所の情報を、同じ一文でそろえられるのは、地域の情報を束ねる立場にある自治体です。地域の説明がそろうほど、AIは地域を一つの像として説明しやすくなります。
2つめは、公的な情報としての重みです。自治体のページは、地域について書かれた公的な情報です。そこに地域の企業や店のことが具体的に書かれていれば、一つひとつの企業や店が自ら発信するよりも、確かな材料として読まれやすくなると考えられます。
3つめは、地域の多くの企業や店を、まとめて動かせることです。研修や支援の機会として取り組めば、地域の企業や店が同じ時期に、同じ考え方で情報を整え始められます。AIの答えは、先に材料をそろえたところから挙がっていきます。地域としていち早く動くことは、ほかの地域より先に答えの中に入ることにつながります。
自治体ができる3つの始め方
自治体のAIO対策は、次の3つから始められます。
1つめに、地域について聞かれそうな質問を、観光、移住、企業の誘致、暮らしの場面ごとに書き出し、AIに聞いて今の答えを記録します。地域の名前が挙がるか、どう説明されるか、説明は正しいかを見ます。
2つめに、間違っている説明や古い情報があれば、そのもとになっていそうな情報をたどり、公式のページを直します。
3つめに、何の地域として名前が挙がりたいかを、関係する部署で話し合い、一文にそろえます。
AlphaDrive REGIONは、自治体と一緒に、地域の企業の事業づくりや人材育成に取り組んできました。「地域AX Category-First AIO」は、地域AIOに取り組む地域の企業・店舗・自治体のための支援です。事業開発の視点から、地域の何の会社・何の店、そして何の地域として名前が挙がるべきかを先に定め、発信と確認をAIで回し続ける仕組みをつくります。観光や移住、産業振興でのAIO対策、地域の企業や店に向けた取り組みについて、ぜひお気軽にご相談ください。
